すこやか22号
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茶葉を微生物で発酵した「後発酵茶」後発酵茶は研究対象にもお茶にも微生物の発酵を利用したものがあります。それが「後発酵茶」です。後発酵茶は、茶葉を摘んだ後に一度緑茶のように加熱して発酵(酸化)を止めます。その後、茶葉を樽の中に入れ、一定期間微生物発酵させて作ります。そのため、〝お漬物のようなお茶〟と称されることもあります。後発酵茶は、日本や中国、東南アジア(タイ、ミャンマー、ラオスの国境周辺)で昔から作られています。例えば、中国のプーアール茶は後発酵茶ですが、スーパーなどでも見かけるくらい有名なので多くの人が見聞きしたことがあるでしょう。  碁   バタバタ茶を除く後発酵茶は、乳酸発酵(乳酸菌による発酵)の工程を含みます。阿波番茶は乳酸発酵のみ、石鎚黒茶と碁石茶はカビ発酵の後に乳酸発酵を行う2段階発酵で作られます。研究によると、製造時に意図的に微生物を添加していないにも関わらず、代々必ず同じ種類の乳酸菌で発酵が行われているそうです。地域ごとに生育している乳酸菌の種類が異なり、その土地に特徴的な乳酸菌が発酵に関与しているといわれています。その理由はわからず、研究が進められています。今回はお茶の世界の発酵、そして微生物による発酵で作られる「後発酵茶」についてお伝えしました。“こういう発酵したお茶があるんだ〟ということを知っていただき、見かけた際にはぜひ飲んでみてくださいね!日本では、4つの後発酵茶が作られています。徳島県の「阿波番茶」、高知県の「碁石茶」、愛媛県の「石鎚黒茶」、富山県の「バタバタ茶」です。富山のバタバタ茶を除くと四国に集中していますが、なぜ四国なのかについてはわかっておらず、その起源も謎のようです。世界的にも後発酵茶の起源は山深い地域というのが共通している程度で、よくわかっていません。後発酵茶は、普通のお茶と比べると独特な風味を有しています。漬物やヨーグルトなどと同じく発酵食品特有の「酸っぱさ」があります。また、お茶の色は褐色系が多いのも特徴です。弘法大師が阿波(徳島県)の山里で修行された際、その地へ伝えたとされている。桶に詰めて乳酸菌によって発酵させる。茶葉の新芽を使わずに、大きく硬く育てた茶葉を使うのも特徴。富山県北部と新潟県糸魚川地域で飲まれている。茶せんで泡立ててから飲むので、その様子が「バタバタ」していることから呼ばれるようになったといわれている。カビをつけて発酵させて作られる。13いしづち石くろちゃ茶西日本で一番高い山である「石鎚山」のふもとで、江戸時代より代々受け継がれてきた技術で製造される。カビをつけて発酵させた後、よく揉んで、乳酸菌で二次発酵させる。ごいしちゃ鎚黒石茶天日干しするため筵(むしろ)に並べている様子が碁石を並べているように見えることからこの名がついたとされている。カビをつけて一次発酵させた後、乳酸菌で二次発酵させる。愛媛県香川県徳島県高知県富山県バタバタ茶あわ阿ばんちゃ茶波番日本の後発酵茶

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