加藤先生に教えていただく睡眠の秘密と秘訣睡眠の大事な役割としては、①脳(身体も)を休ませる、②ホルモンバランスや免疫をととのえる、③記憶を整理させ、定着させる、④脳のゴミを排泄するが挙げられます。記憶の定着とは、日中に記憶したこと(学習や経験)を忘れないように脳に固定することです。この記憶の定着には、特に深い眠りのノンレム睡眠が重要な働きをしています。昼間のうちに蓄えられた記憶は、整理されている過程で作られる新しい神経回路によって長期的な記憶になっていきます。また、泳ぎ方や自転車の乗り方など体で覚える記憶にとっても、睡眠は大事なんです。思い出や練習の成果が実を結ぶのも睡眠次第なのです。脳のゴミの排泄についてですが、脳が活動すると細胞の老廃物や異常タンパク質ができます。このゴミは、脳で循環する脳の脊せい髄液えと呼ばれる液体に流されて掃除されますが、特に睡眠中にこの流れが活発になります。異常タンパク質は、病気が発症してからできるものではなく、正常な脳の中にもある程度存在し、通常はこれをせっせと排泄しています。寝不足だったり、睡眠の質が良くないとゴミ掃除がうまく行われず、脳にゴミが貯まってしまいます。これは認知症のリスクにもつながりますので、よい睡眠は、もっとも優れた認知症リスクの軽減策なのです。そうなんです。実は脳では、日中働いてきずQ Qうき6寝ている間には脳でどんなことが行われているのか、良い眠りのためにはどんな行動をすればいいのか。脳内科医で睡眠の問題に詳しい加かとう藤俊としり徳の先生にお聞きしました。(S)そもそも脳にとって、睡眠の役割とはどのようなものでしょうか?「休ませる」や「ととのえる」は、なんとなくイメージできますが、睡眠中の記憶の定着や脳のゴミの排泄とはどういうことでしょうか?私たちが寝ている間も、脳ではとても大切なことが行われているのですね。寝ながら学習していることはもちろんですが、寝ている間に脳のゴミのお掃除までしているとは、驚きです。記憶の固定脳のゴミ掃除脳・身体の疲労回復身体機能の回復
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