すこやか23号秋冬_デジタルブック-2
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発酵に利用されている微生物は、大きく「カビ」「酵母」「細菌」の3つに分けられます。カビの胞子や酵母、細菌は非常に小さく目には見えませんが、彼らなしに発酵は生まれません。日本の発酵技術は複数の微生物を巧みに使いこなしているのも特徴です。例えば、酒造りでは麹菌が米のデンプンを糖に変え、その糖を酵母菌がアルコールに作り変えます。さらに、ここに酢酸菌が加わると酢ができあがります。このように、日本の発酵技術は個々の微生物の力を最大限に利用して、バラエティ豊かな食卓を提供してくれています。はっこうせんか今回は、発酵食品や発酵ドリンクを作るうえで欠かせない「微生物」に注目してみようと思います。ふだんは目に見えないけど、とっても働き者の微生物。その種類や役割を知るとさらに「発酵っておもしろい!」って思えるはずです!奥が深くて、ワクワクする発酵の世界を、一緒にのぞいてみましょう。発酵を学ぶVol.2納豆なれずし細菌酵母パンワインビールみりんみそしょうゆ酢・酒チーズカビかつお節甘酒乳酸菌納豆菌酢酸菌etc麹菌青カビ白カビetc  ※分解や合成など、化学反応を助けるたんぱく質酵母菌は熱帯から極地まであらゆるところに棲んでいます。柿やブドウ、花の蜜や樹液のまわりに多く、糖分を食べてアルコールと炭酸ガスを作るので、酒造りには欠かせません。パンが膨らむのも、酵 母 菌が発する炭酸ガスによるものです。また、酵母菌による発酵は香りが芳醇なのも特徴です。納 豆 菌 や 乳 酸 菌 などなじみのある菌が多いのがいわゆる細 菌です。自然界のあらゆる場所に生息し、乳酸菌だけでもこれまでに約400種類も発見されています。発 酵 食 品を作るチカラがあるだけでなく、人を健康にしてくれるチカラもあります。単独の発酵もありますが、カビや酵母と協力することでより複雑な発酵を演出します。カビというと食品に悪いイメージがありますが、私たちの食文化にはなくてはならない種もいます。中でも麹菌は、多くの調味料や酒造りに利用され、日本の「国菌」に認定されています。カビには酵素※が多く含まれていて、甘みやうまみをもたらします。お醤油をはじめ和食の調味料のほとんどに使われていますが、その作り方はいたってシンプル。それでも豊かな味が生まれるのは、日本人が昔からカビをとても大事にし、上手に付き合ってきたからなのでしょう。12酵母酵母細菌細菌カビカビ発酵専科発酵食品の魅力を支える菌の世界

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