02.乳酸菌生成エキスと免疫
免疫機能のへの影響は、プロバイオティクス乳酸菌やその関連製品で多くの報告がなされています。「乳酸菌生成エキス」についても免系と関連するデータがいくつか得られています。
「乳酸菌生成エキス」の経口摂取によって、①腸管リンパ球、特に大腸NK1.1+T細胞の増加とそれに伴う血中インターフェロンγの増加や②NK細胞活性の活性化、その他好中球(リンパ球の一種)の貪食活性の増加、インターロイキン2産生の増加、血中IgAおよびIgM増加など様々な影響がマウスにおいて明らかになっています。
マクロな視点からの解析では、老齢マウスのパイエル板において、「乳酸菌生成エキス」投与群では免疫細胞が活性化している画像が得られています。また、免疫機能の調節・活性化と関連して、大腸ガン発生モデルマウス(DMH誘発)における腸管内の腫瘍発生率の低下や微小腺腫発生率の低下作用があることも見いだされています。
臨床事例では、2症例ながらアトピー性皮膚炎における改善例も確認されており、アレルギーの指標になる血中IgE値の低下も認められています。
以上のように「乳酸菌生成エキス」の経口摂取は、免疫機能の調節あるいは活性化を引き起こします。その結果として、アトピー性皮膚炎の改善や大腸腫瘍発生率の低減が引き起こされるものと考えられます。
培養細胞を用いた試験では、「乳酸菌生成エキス」中の核酸成分が関与しており、「乳酸菌生成エキス」の免疫機能調節活性成分の一つとして乳酸菌由来の核酸が機能していると考えられます。しかしながらこの核酸だけでは、これまで紹介してきた「乳酸菌生成エキス」の免疫機能に及ぼす多様な影響は説明しきれないのも事実です。
腸管は人体最大の免疫器官でもあります。腸内環境、特に腸内細菌と腸管免疫系は非常に密接な関係があり、複雑系と複雑系が融合した超複雑系です。また、同様に「乳酸菌生成エキス」も高効率発酵システムから得られる超複雑系です。超複雑系×超複雑系となると概要を統一的に理解するには、まだまだ時間が必要なようです。