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藤野武彦先生の脳疲労とプラズマローゲン

脳疲労の解消に|脳が笑って腸が喜ぶ生活を

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いつまでも健やかでいたいなら、脳が笑って腸が喜ぶ生活を

脳にはたらく『ホタテ由来プラズマローゲン』と、腸にはたらく『乳酸菌生成エキス』。どちらの臨床研究もなさっている、藤野武彦先生(九州大学名誉教授・医学博士)に伺いました。

乳酸菌生成エキスについてはこちら

「脳疲労」とは

「脳疲労」という言葉をご存知でしょうか。私が30年前に創った造語ですが、一言でいえば「脳が疲れた状態」です。筋肉を使いすぎると筋肉疲労が起こるように、脳も使いすぎると「脳疲労」を引き起こすのです。現代社会のように、仕事や人間関係、パソコンやスマホなど「情報がいっぱい」あることが「脳疲労」の直接の原因です。この情報は「ストレス」と言い換えることができます。

脳の中には2つの部位があります。知性・理性をつかさどる大脳新皮質、そして本能・情動の大脳辺縁系です。

大脳新皮質は脳の夫役で、いつも外部からの情報に緊急対応し頑張ろうとするところです。一方、妻役である大脳辺縁系は、自分の身を守る役割。ですから、疲れたら休みたいと思い、眠くなったら眠りたいと思います。それなのに、頑張ることを夫の大脳新皮質から強いられることが多くなると、夫婦間のバランスが悪くなり「脳疲労」が起こるのです。メタボリック症候群やガン、認知症は「脳疲労」から起こると考え、「脳疲労」を解消することでこれらの病気を改善することを臨床の場で実践しています。最近になって、生理学的レベルでもわかったことがあります。それは、「脳疲労」の患者さんの多くに血液の中の「プラズマローゲン」という脂質成分が減少していたという事実です。

※イメージ

プラズマローゲンとは

「プラズマローゲン」は、ほ乳類をはじめ動物の体中に含まれるリン脂質の一種で、不足すると細胞の正常な働きがなされなかったり、コレステロールが血管に蓄積しやすくなったりします。生命維持のためには非常に重要な物質ですが、20年くらい前まではほとんど研究は進んでいませんでした。なぜなら、当時はプラズマローゲンを生体から取り出すことが困難だったからです。しかし、私たち研究グループが2007年、食品からプラズマローゲンを抽出する方法を世界で初めて発見したことで研究が一挙に進みました。

実際、脳内のプラズマローゲン量が減少している認知症患者さんに、ホタテ由来のプラズマローゲンを摂取してもらったところ(二重盲検試験)、認知機能検査(下記グラフ①/WMS−R)が改善し、認知症の進行を防ぐ可能性の結果が出ています。(2017年3月、アメリカの医学雑誌に論文掲載)その後、私たち研究チームだけでなく、さまざまなクリニックで同様の症例が出てきています。

新しい概念「腸疲労」

また、私がここ十数年温めてきた新しい概念に「腸疲労」があります。「腸疲労」とは簡単にいうと、腸が疲れて動きが悪くなっている状態で、便秘、下痢といった症状です。医学的定義で言えば、「腸内細菌と腸上皮細胞との関係性の破綻(仲間割れ)した状態」です。わかりやすく言い換えると、腸内細菌たちは、腸上皮細胞(免疫細胞)と「対話」をしています。この対話で、ガンやアレルギーなども調整されています。

ところが、ストレスなどで「脳疲労」を起こし、さらに体によくない食事などしていると、腸内細菌と腸上皮細胞の対話による免疫調整が行われなくなってしまうのです。もちろん、腸内細菌も多種多数いることが私たちの健康には重要ですから、何かの条件や環境でこの数が極端に少なくなり、さらには「対話」も行われないとなると、腸機能は破綻します。この状態を「腸疲労」と呼ぶことにしたのです。 「腸疲労」になれば、免疫が異常になり、ガンやアレルギー、さらには「脳疲労」にもつながります。脳腸相関という言葉があるように、2つの臓器活動は右下図のように相互に深くかかわっているからです。

「腸疲労」を取り、防ぐには、ストレス過剰な状態から自分を守る(脳疲労にならないようにする)ことが大切です。そして悪い食べ物・食事を軽減し、「よき食事」をとることです。1日1快食で、伝統的和食の家庭料理を楽しくとることをおすすめします。(BOOCS 法)

また、私たちの研究グループが行った大腸がんに関する研究で使用した『乳酸菌生成エキス』も有効でしょう。(Oncologyreports 8:1073-1078,2001)

「脳疲労」と「腸疲労」を解消するのが生活習慣病(メタボリック症候群から認知症、ガンまで)の予防と治療のコツといえます。

今、健康情報はテレビからも、インターネットからもたくさん入ってきますが、情報に踊らされず、できる限り科学的根拠のあるものを自分で選択することが大切です。難しいときには、信頼のおけるホームドクター、医療関係者に相談するとよいでしょう。

「脳が笑って、腸が喜ぶ生活」を意識して実践なさってみてください。

「脳疲労」の最初の重要サイン

1. 眠りが悪い…寝つきが悪くなる、夜中に用もないのに目が覚める。用もないのに朝早く目が覚めるなど。

2. 便秘する、下痢する。

3. 義務で食べる、過食する…欲してないのに食べたくなる、食べ始めると止まらない、ダラダラと食べてしまう、イライラして食べてしまう、甘いものが欲しくなる、昼になったから食べておこうなど。

※イメージ

藤野武彦医師

1938年福岡県生まれ。九州大学名誉教授、医学博士、内科医・循環器専門医、医療法人社団ブックス理事長、レオロジー機能食品研究所代表取締役、一般社団法人プラズマローゲン研究会臨床研究部代表、一般社団法人BOOCSサイエンス代表理事。九州大学医学部卒業後、九州大学第一内科講師、九州大学健康科学センター教授を経て現職。27年前に脳疲労概念とその具体的治療法であるBOOCS理論を提唱。肥満や糖尿病などの生活習慣病やうつ状態に対する医学的有用性を実証して来た。また近年、脳疲労と脳内プラズマローゲンとの関係に着目し、重傷脳疲労と考えられる認知症に対する有用性を実証しつつある。一般向け著書には『認知症はもう不治の病ではない』(ブックマン社)『BOOCSダイエット』(朝日文庫)『脳の疲れをとれば、病気は治る!“脳疲労時代”の健康革命』(PHP文庫)その他多数。

『すこやかメッセージNo.7』(2018年秋号)より転載