プラズマローゲンの抽出方法と精製度
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目次
注目の成分なのに「プラズマローゲン」の研究が進まない!その理由は?
注目されても進まなかったプラズマローゲンの研究
プラズマローゲンは、家事や仕事、勉強など日常生活をスムーズに送るうえで欠かせない成分です。私たちの体内に存在しているリン脂質の一種で、細胞を形づくっています。プラズマローゲンは、以下の図A*1の赤い部分のように細胞の膜に存在し、特に心臓や脳、骨格筋に多く含まれ、たくさんの重要な役割を担っています。
そのため、プラズマローゲンは古くから基礎研究※1が行われてきました。海外では1995年に「亡くなったアルツハイマー型認知症の患者の“脳の海馬(記憶を司る)と前頭葉(思考や判断など脳の司令塔)”の両方で、リン脂質のうち特にプラズマローゲンの量が減少している」という論文が発表され、アルツハイマー型認知症との関連を示す研究が先行していました。しかし、その後の研究は進みませんでした。
※1:病気の原因や治療効果を調べるために、主に細胞やマウスなどを用いて実験室で行われる研究立ちはだかるプラズマローゲンの性質の壁
研究に使用できるレベルの高純度なプラズマローゲンを抽出するためには大きな問題がありました。それは、プラズマローゲンの「酸や熱によって壊れやすい」という性質です。そのため、プラズマローゲンだけを高純度で健全な状態で抽出することは困難を極めました。
さらに、そもそも抽出しようとしているものに、どのくらいのプラズマローゲンが含まれているかを検出(物の中に隠れている、または混じっているものを、検査して見つけ出すこと)し、測定するのにも重厚な装置が必要でした。しかも高額。さらには時間がかかることも大きな壁でした。
「2日が1時間に?!」 プラズマローゲン研究に現れた救世主
プラズマローゲンの検出・測定に現れた救世主
重厚な装置、高額、時間がかかるという問題があったプラズマローゲンの検出・測定ですが、この問題を解決したのは、後に抽出方法も確立した、馬渡志郎(まわたり・しろう)医学博士でした。馬渡医学博士は細胞膜研究の測定技術「HPLC法」を応用して、プラズマローゲンを検出・測定する方法を開発しました。
「2日がかりだったものが、1時間に短縮された感じでしょうか。」(馬渡医学博士)
この「HPLC法」を応用した技術が確立されたことで、プラズマローゲンの検出・測定は飛躍的に効率が上がりました。馬渡医学博士は、「2日がかりだったものが、1時間に短縮された感じでしょうか」と表現しています。その後のアルツハイマー病患者の赤血球膜のプラズマローゲン量の測定など、様々な研究で使用され、研究は大きく進んでいきました。
さらに、微量にしか含まれない血漿中のプラズマローゲンの検出・測定には、高価な機器が必要でしたが、特殊な酵素・PLA1を使用してプラズマローゲンを検出・測定する「酵素法」を開発。この方法によりプラズマローゲンが微量にしか含まれない血漿中、しかも少量の血漿からプラズマローゲンを検出・測定することができるようになりました。比較的迅速に検出・測定ができるのも大きな進歩でした。
この「HPLC法」、「酵素法」により、血液成分に限らず、他の身体組織のプラズマローゲンの検出・測定にも応用が可能であることも確認されています。
プラズマローゲンの高純度抽出で叶ったこと
プラズマローゲンを検出・測定する「酵素法」を用いた、プラズマローゲンの抽出も行われましたが、研究で使用することができる高純度なプラズマローゲンを抽出するには大きな問題がありました。それは、ある脂質がプラズマローゲンと一緒に残ってしまう点です。
この脂質を沈殿させて、純粋なプラズマローゲンを抽出することに成功したのも、馬渡医学博士でした。これにより、高純度でプラズマローゲンを抽出することに成功。世界的医学誌にも掲載された数々のヒト臨床試験には、この抽出方法によって、ホタテ貝から高純度で抽出されたプラズマローゲンが使用されました。
高純度抽出技術でホタテ貝から抽出したプラズマローゲンを摂取することで、アルツハイマー型認知症(軽度・中等度・重度)やMCI患者の記憶力などの認知機能が改善するなど、認知症とプラズマローゲンとの関係を示唆する研究結果が次々と生み出されていきました。
重金属のたまりやすいウロの部分以外からプラズマローゲンを抽出
ハイグレードの高純度プラズマローゲンをお客様の元へ
ホタテ貝から高純度で抽出したプラズマローゲン。ヒト臨床試験でも使用され結果を残したものと同じハイグレードのものをお客様に届けたい。この想いをカタチにしたのは、ビーアンドエス・コーポレーション八王子研究センター所長の貴家(さすが)農学博士でした。ただ、高純度プラズマローゲンを製品化するには、2つの課題がありました。
【1】高純度ゆえに“ガム質”になってしまうため、製品化が難しい。(リン脂質の特徴)
【2】酸化されやすい。(プラズマローゲンの特徴)
この2つの問題を解決したのが、粉末化です。
ホタテ貝から高純度で抽出したプラズマローゲンの粉末化
貴家農学博士は、ホタテ貝から高純度で抽出したプラズマローゲン(ホタテプラズマローゲン®※)の分子をオリゴ糖で包んで粉末化する「粉末化保護製法(特許第6761924号)」という特許製法を確立しました。
※ホタテプラズマローゲン®:高純度75%以上でホタテ貝から抽出したプラズマローゲン
これにより、ガム質と酸化の2つの課題を解決し、高純度で抽出したホタテプラズマローゲンを健全な状態に保ち、そのまま体に届けることが可能になったのです。しかも、粉末化されたホタテプラズマローゲンは、高温の環境下や時間の経過にも対応しています。酸化せずそのままの品質で成分として残存していることが以下のグラフからもわかります。
―粉末化保護製法(特許第6761924号)―
―粉末化したホタテプラズマローゲンの安定性―
60℃という過酷な環境下でも、粉末化したプラズマローゲンはしっかり残存していることがわかる。
体内に存在する天然成分で、繊細な性質のプラズマローゲン。古くから注目されていても、プラズマローゲンがどういうものなのか、そして身体への影響、疾病との関係性はずっと闇の中でした。 しかし、プラズマローゲンの検出・測定法、高純度で抽出する方法が確立されて、基礎研究やヒト臨床試験が進み、現在では、脳疲労やアルツハイマー型認知症、MCI、さらにパーキンソン病などとの関係が明らかになってきています。これからも研究は進み、様々な研究結果が発表されていくに違いありません。
このヒト臨床グレードの高純度でホタテ貝から抽出したプラズマローゲン=ホタテプラズマローゲン®は粉末化によって安定した製品供給が実現し、健全な状態でプラズマローゲンを体に届けることができるようになった今、ホタテプラズマローゲン®がより多くの人の希望の光になると期待されています。
■馬渡 志郎(まわたり しろう)
医学博士、内科・神経内科専門医。レオロジー機能食品研究所所長。
米国ペンシルバニア大学およびコロンビア大学でジストロフィーの赤血球膜の生化学的研究に従事。その後、九州工業大学准教授、福岡女子大学教授を経て現職。
■貴家 康尋(さすが やすひろ)
博士(農芸化学)。㈱ビーアンドエス・コーポレーション八王子研究所所長。
(財)東京都医学研究機構東京臨床医学研究所研究員などを経て現職。
プラズマローゲン研究・裏話
馬渡医学博士は、プラズマローゲン研究の第一人者の九州大学名誉教授の藤野武彦先生と学生時代からの盟友でした。藤野先生は馬渡医学博士のことを「のび太とドラえもんみたいな関係」とおっしゃっています。のび太(藤野先生)が困っているときに、いつもどこからかドラえもん(馬渡医学博士)が登場してきて、解決に手を貸してくれるそうです。これからもお二人のコンビが困難を解決してチームの力となり、研究がさらに進んでいくことでしょう。