プラズマローゲンとは
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目次
プラズマローゲンとは
プラズマローゲンは、細胞を構成する脂質であるリン脂質の一種(図1参照)で、体内のリン脂質の18%を占めています。特に脳神経細胞や心筋など、たくさん酸素を消費する組織に多く含まれており、日常生活を送るうえで欠かせない成分です。
私たちの体にとって重要なプラズマローゲンですが、近年、脳の健康に非常に重要なはたらきをすることがわかり、注目を集めています。
プラズマローゲンが注目されたきっかけ
プラズマローゲンの存在自体は90年以上前に未知の成分として発見されていました。その後、1995年にアルツハイマー病患者の脳(死体脳)のプラズマローゲン量が減少しているという研究結果が発表されると、それに続き、カナダや九州大学・藤野武彦名誉教授の研究グループで、生存しているアルツハイマー病患者の血液中でもプラズマローゲン量が減少していることが解明され、世界中で未知の物質・プラズマローゲンが注目されました。
注目を集めたプラズマローゲンですが、その動物やヒトへのはたらきはわかっていませんでした。なぜなら、当時はプラズマローゲンを抽出する方法が確立されていなかったからです。ですが、2006年に九州大学・藤野武彦名誉教授の研究グループがプラズマローゲンを抽出することに成功すると、翌年には、同研究グループの馬渡志郎博士の手により、プラズマローゲンを高純度で抽出・精製する方法が開発されました。この出来事をきっかけに、プラズマローゲンの研究が飛躍的に進みました。
詳しく知りたい方はこちらから
https://bandscorp.jp/learn/plslabo/plasmalogen_1/
研究・解明されたプラズマローゲンの機能
これまでにプラズマローゲンには、以下のようなはたらきがあることがわかっています。(図2参照)
これらのさまざまな機能のなかでも特に注目されているのは、抗酸化機能です。脳神経細胞はストレスを受けて酸化されるといずれ死んでしまいますが、プラズマローゲンはそれを食い止めます。プラズマローゲンは、身代わりとなって酸化されることで脳神経細胞を守っているのです。
この抗酸化機能を可能にしているのは、他のリン脂質には見られない特徴的なプラズマローゲンの構造にあります。それは、構造の一部にビニールエーテル結合という結びつきを持っていることです。
ビニールエーテル結合には酸素と結びつきやすいという性質があるため、この結合を有するプラズマローゲンは抗酸化力が非常に高いであろうといわれています。プラズマローゲンは活性酸素などの酸化物質といち早く結びつくことで、私たちの脳神経細胞が酸化されないよう守っているのです(図3参照)。
最新研究によりわかったプラズマローゲンの3つの作用
近年、研究が進み、プラズマローゲンの機能が解明されつつあります。ここでは、最新研究でわかったプラズマローゲンのはたらきをご紹介します。
- ①脳へのダメージ抑制作用
プラズマローゲンは脳細胞の酸化や疲労による脳の炎症を防ぐことがわかっていますが、脳神経細胞にダメージを与えるアミロイドβタンパクの蓄積を抑える効果があることがマウスの実験でわかりました。この結果から、プラズマローゲンはアルツハイマー病の予防効果があると考えられています。アルツハイマー病のダメージを受けた脳に差が
アルツハイマー病のマウスが脳に炎症を起こすと、脳にダメージを与える「アミロイドβタンパク」という物質が溜まります。ところが、同じように脳に炎症を起こしたアルツハイマー病のマウスにプラズマローゲンを与えたところ、アミロイドβタンパクがほとんど見られず、脳への蓄積を抑えたことがわかりました。
- ②神経細胞の新生
記憶を司るのは、脳の中心部に存在する「海馬」という器官です。マウスを使用した実験では、プラズマローゲンを投与することで新しく神経細胞がつくられることがわかりました。
この研究結果から、今後、アルツハイマー病やパーキンソン病を代表とする神経細胞変性疾患の治療に役立つと期待されています。 - ③学習記憶改善効果
プラズマローゲンを6週間与えたマウスと与えなかったマウスで【モリスの水迷路の実験】という記憶力を比較する実験を行いました。その結果、プラズマローゲンを与えたマウスの記憶力が飛躍的に上がり、記憶改善効果があることがわかりました。モリスの水迷路の実験
プールの水面下1㎝に隠れている透明のステージにたどり着く時間を測る実験。何度も泳がせることで、ステージの場所を覚えるため、記憶力が上がるほど到着時間は短くなる。6回マウスを泳がせたところ、ホタテ由来プラズマローゲンを与えたマウスが10.43秒でたどり着いたのに対し、与えなかったものは30.10秒もかかりました。
ホタテ由来プラズマローゲンが注目される理由
プラズマローゲンは、日々私たちの体の中でつくられ、多くのはたらきをしています。しかし、現代のストレス社会では、体内で生成されるプラズマローゲン量よりも消費される量が上回ってしまうことがあり、脳神経細胞がダメージを受け、脳内で炎症が進んでいくことにつながってしまいます。
ですが、研究の結果、体の外からプラズマローゲンを摂ると血中のプラズマローゲン量が増えていることから、体内のプラズマローゲン生産能力を高めていると考えられています。アルツハイマー病患者がホタテ由来プラズマローゲンを摂取することにより認知機能が改善したなど、特にアルツハイマー病患者への研究結果が多く発表されています。この発見は、認知症治療の分野で画期的な発見となり、現在は臨床の現場でも多く使われています。
詳しく知りたい方はこちらから
https://bandscorp.jp/learn/plslabo/dementia_1/
世界が認めたアルツハイマー型認知症症状の改善効果
https://bandscorp.jp/learn/plslabo/study_1/
プラズマローゲンは、人間のみならず、どの動物の体内にも含まれていますが、中でもホタテ由来プラズマローゲンが注目されているのは、なぜでしょうか?
プラズマローゲンは動物により、それぞれ少しずつ構造が異なりますが、ホタテ由来のプラズマローゲンは、人間の脳に多く存在するプラズマローゲンの型に最も近い構造をしているからです。脳の健康に関係が深いDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など、多価不飽和脂肪酸ともバランスよく結びついており、より脳の健康に有効性が高いと考えられています。
ホタテをそのまま食べても、効果的にプラズマローゲンを体内に取り入れることはできません。プラズマローゲンに関する多くの研究は、高純度で抽出・精製されたホタテ由来プラズマローゲンが採用されていることからも、純度の高さが重要であると考えられます。
プラズマローゲンの可能性
現在、プラズマローゲンのはたらきは、徐々に明らかになりつつありますが、すべてが解明できたわけではありません。研究が進めば、さらなる機能が明らかになることでしょう。事実、動脈硬化や心疾患をはじめとした認知症以外の疾患の方でも体内プラズマローゲン量の減少が確認されています。また、国民の5人に一人が悩みを抱えているといわれる睡眠の分野においても、性別・年齢を問わず、不眠改善効果があることもわかってきています。
未知の成分といわれたプラズマローゲン。今後、ますます研究が進み、様々な医療分野で病気の治療・予防へ活用されていくことが期待されています。